第四章 フレッシャー王国

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頭突きされた相手は呻き声をあげながらその場にしゃがみこみ次の攻撃を仕掛けようとするエルに向かって待ったというように手をあげた。 「ロアン様~勘弁してくださいよ~」 喉元に足をかけられたままの者も悲痛な声をあげる。 「二人とも日頃の訓練が足りないんじゃないか?」 姫を足にしがみつかせたままロアンがニコニコとこちらへ近づいてきた。 「女性だからといって甘く見るから痛い目にあうのですよ。」 「女性ったってまだ若い女の子じゃないっすか。そりゃこんなに強いとは夢にも思わないっすよ。」 しゃがみこんだままの男は何も言わずにゆっくりと立ち上がった。 「エルディア嬢、その美しい足を退けてあげていただけますか?」 エルディアは真っ赤な顔で急いで足をどけた。 「も、申し訳ありません。何か思い違いをしてしまったようで。」 「いえいえ、謝らなければいけないのは私たちの方です。少々あなたを試させていただきました。」
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