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微笑むロアンの背後に突然ギルが現れた。
「ロアン先生、試験方法ならいくらでもあるでしょう。彼女がけがでもしたらどうするのですか。」
「おや、ギル。自分こそエルディア嬢のエスコートを放り出して何をしていたのですか?あなたが側にいるから危険は生じないだろうと思って少々手荒なまねをしたというのに。」
ギルはムッと黙り込んでしまった。
「まぁ結局彼女に怪我はないし、見事に合格です。エルディア嬢。」
「怪我の心配をしなくちゃいけないのはこっちのほうですぜ。」
やせた小柄な男が覆面をとって喉をさすりながらつぶやいた。
「本当にごめんなさい。」
「謝ることはない。ニルス、ハディ。もう一度私の元で訓練するか?」
ギルが真顔で問いかけると小柄な男の方が慌て首をふった。
「今日はちっと調子が悪かっただけで、そうですね、ハディ様。」
大柄な体格のいい男は顔をしかめただけで何も言わない。
「私の演技力もなかなかだったでしょ?エルディア。」
ニコニコと見上げてくる姫君にエルは弱々しく笑い返すしかなかった。
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