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「さて、エルディア嬢。あなたは試験にも合格されたことだし、フレッシャー王国へいらしていただき、さっそく正式な騎士としてお迎えいたしますよ。」
ロアンの唐突な言葉にエルは慌てて、
「ちょ、ちょっと待ってください。まずお母様やカロフ様にきいてみなければ…」
「承諾ならもういただきましたよ。ほら、」
ロアンが差し出した紙の指し示された場所には確かにサインがされていた。
「サンドラおば様」
「あなたがギルとダンスをしていたときに邪魔に入ろうとしているご婦人がお二人いらしてね、ちょっと調べたらなんとあなたのおば君といとこだというからこれは丁度いいとサインしていただいたのだよ。お二人とも喜んでサインしてくださったよ。」
「勝手なことを…」
「まぁ、つらく大変な職務だと散々聞かせたのにあんなに賛成するところをみるとあまり良い関係ではないようだね?」
「ダンスをしているときって、試験の前じゃないですか。」
エルはロアンの言葉を流して問いつめた。
「あなたが私のハンカチを拾った時点で試験には受かっていたんだもの。さっきのは腕前を見せてもらっただけ。」
エルは不思議そうに姫君を見る。
「あれを拾ったのは本当にたまたまで。」
姫とロアンが同時に頭を横にふった。
「あれにはまじないがかけてあったのですよ。人探しのまじないがね。」
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