第一章 ~伝説の始まり~

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『……作戦内容は以上です』 Gジェルで一杯のコクピットに、女性オペレーター《フィオナ》の、ややたどたどしい声が届く。 その中に、分厚いパイロットスーツを纏い、メットから束ねられたコードを弁髪のように伸ばす者が居た。 それはシートに括り付けられ、あたかもパーツの一つであるかのようにそこに座っている。 『状況は既に出来上がっている。後は君次第だ。よろしく頼む』 続けて男性のものと思われる低い声が届く。 衰退したコロニー《アナトリア》の新たな指導者(エミール)のものだ。 『ネクストを使った、初めての実戦よ。……頑張って』 輸送機のハッチがゆっくりと開いていく中、フィオナの心配そうな声が続けて響いた。 パイロットは、ネクスト特有のシステム《AMS》から来る負荷に頭をかき回されながらも、口を開いてはっきりした声を出した。 「心配することはにい。俺が無事帰還するるのは確定的に明らか」 《彼》は、その独特の口調で返事をした。 その平生とさして変わらぬ態度に、フィオナの顔が僅かに綻んだ。 『……そうね、《ブロント》』 彼女はその名を呼ぶと、ハッチの開放を行った。 輸送機の底部が開き、騎士のようなデザインが特徴のオーギル・タイプのネクスト《グラットン》がその姿を露わにした。 格調高ささえ感じさせる白き装甲が、カーゴ内の光を反射し輝いていた。 『グラットン、投下』 フィオナの声と共に、アームが解き放たれ、グラットンは眼下の都市(グリフォン)に向け降下した。 グリフォンには、既にテロ勢力の部隊が展開している。 これの排除が、彼の任務であり、アナトリアの送るプレゼンテーションだった。 『……PAは展開出来ません。気をつけて……』 「……おいィ?」 突然のフィオナからの通信に、ブロントは怪訝そうな声を上げた。
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