第一章 ~伝説の始まり~

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『都市への汚染を防ぐ為とのことだ。厳しいだろうが、頼むぞ』 彼のその言葉に対し、エミールは淡々と付け加え、通信を切った。 「お前後でボコるわ…」 ブロントは愚痴ると、グラットンのメインブースターを吹かし、大地へと軟着陸させた。 その二本の脚が大地を力強く踏みしめ、メインカメラが強く敵部隊を睨む。 「行くます!」 ブロントは叫ぶと、グラットンを前方へとダッシュさせた。 既に展開していた戦車・MT部隊はこれに反応し、その火線を集中させる。 幾多の火砲が唸りを上げ、強烈な運動エネルギーを伴う弾丸の嵐をグラットンへと横殴りに吹き荒れさせた。 だがグラットンはブースターの出力を上げ、地面から離れると、そのライフルを敵戦力に向けた。 瞬時にそのトリガーが引き絞られ、通常兵器を優に凌ぐ破壊力を持った熱弾は戦車を容易く貫き、玩具の如く跳ね飛ばした。 「流石にネクスト用火器は格が違った」 ブロントは、初めて実戦で使うその武器の威力に関心しつつ、散布型ミサイルを展開し放った。 小型、しかし32発同時に撃ち出されるミサイル群はMTに襲い掛かると、あっさりと爆散させた。 それを確認すると、ブロントはグラットンをビル街から抜けさせ、大川へと移動させた。 『敵ノーマル、六機……多すぎる……!』 フィオナは驚愕した様子で言った。 幾らネクストとはいえ、PAが無ければ防御能力に不安が残る。 加えて、ブロントはこれがネクスト戦における初陣であり、ますます危険性は高くなっていたのだ。 「汚いなさすがテロリストきたない」 一方、ブロントは苦々しげに言い、水上を渡ってノーマルへと近付いて行った。 「水素吸合金属の塊で出来たネクストが標準装備のノーマルに遅れをとる筈はない」 ブロントは言い放ち、アルドラ製の重装ノーマルに向けミサイルを放った。 微妙なカーブを描きつつ目標へと猛進するそれらは、ノーマルに命中すると次々に爆発を起こし、過剰な衝撃と黒煙で覆った。 そこへ、彼はライフルによる追撃をかける。 熱弾が疲弊した装甲を貫き、ジェネレータまで達し爆発させる。 『一機撃破。その調子です』 フィオナは、若干トーンの上がった声で通信を送る。 と同時に、グラットンを一条の熱線が襲った。 アルドラの提携企業、メリエス自慢のレーザーが、純白の装甲を黒く焦がした。
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