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なんだか相手がいないはずなのに恋愛しているような感覚。
ため息ばかりが出てきて何だか疲れる。とりあえず顔が思い浮かんだので暇潰しに女友達の亜由美(仮)に電話を掛けてみる。
「もしもし―」
テンションが低かったせいかかなり低い声が出た。
「おー、どしたぁ?」
「んー、あぁ、えっと、そういえば来週の土日、遊びにいこうって話し曜子(仮)から聞いた?」
「あぁ、聞いたけどまだいまいち分かんない感じだからわかったら後で曜子に言うね」
「了解。わかったぁ」
「どした?」
気にせず話を続けていたが、何だかいつもみたいに軽い調子で話し続けられない。亜由美の問い掛けにもいつものように簡単には返せず、少しだけ黙り込んだ。
「別に、そっちこそどした?」
適当にはぐらかせて場を持たせる。
「え?別に?どうもしてないよ」
「そっか」
「うん」
「それじゃね」
「じゃね」
電話が切れた。スピーカーから、向こうの電話はすでに持ち主の耳から離れていることを知らせる音が断続的に聞こえてくるが、すぐにそれも無くなる。亜由美に電話する度に聞けた惚気を聞けなかったのは少し残念な気がして、それだけのためにもう一度電話を掛けようか悩んで、止めた。
ため息を吐いて、携帯を横に置いく。もう一度ため息を吐いた。
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