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「誰と話してたの?」
振り向くと、コンビニ袋を提げた麗が窓越しに戒を覗き込んでいた。
「……!!」
先刻の一件が蘇って、戒は身震いして助手席まで後退った。
すると、なんとも悲しげな顔で麗は運転席に座った。
「俺、代わりに転がすよ」
大丈夫。事故ったりしない。とつけ加えて、麗はサイドを蹴った。
車窓から流れていく景色も
耳を掠める彼の言葉も
戒の胸に引っ掛かることはなかった。
ただ
心地好くも不穏な感覚だけが
足元から伝う振動に揺らいでいた。
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