ジャイアニズム

3/7
前へ
/52ページ
次へ
「俺、行かないよ?」 ―ぞくっとした。 麗は自分のずっと前を歩いているのに 声色に隠れた無言の手錠 彼は決してこちらを見てはいないのに 有無を言わせないプレッシャーが、戒を締め上げていく。 「………ごめん、僕も行けない」 そう言うしかなかった。 「そんなぁっ;みんなで行くべぇ」 「ごめん。別件で用事あんだ」 即座、至極残念そうにして麗は一刀両断。 「僕も電機屋さんにエアコンの修理頼んでて…」 玲汰の顔が不安そうに陰るのがわかった。 (ほんとは、ついてってあげたいんだけど…ごめん;) せめてそう耳打ちしてやる事しかできない戒。 「じゃ俺らだけでいくか」 流鬼がいつものいたずらっぽい笑顔で玲汰の頭をどつくと「俺が、車出すべ」と苦笑いして玲汰は先頭切って小走りに駐車場へ。 流鬼もトコトコ小走りで付いていく。 なんでこうなっちまうんだょお。と葵はうなだれながら二人に「バイバイ」と手を振った。 「―――――――」 背中で睨み付ける麗と、俯いて動けないでいる戒だけが残る。 「戒」 やっと手錠が解かれたように、戒は恐る恐る後ろから麗を抱き締めた。 「―正解」 麗の口元が歪んだ。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

304人が本棚に入れています
本棚に追加