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冷たい壁に叩きつけられて、背骨から胸へと突き抜けるような痛みに、戒は大きくむせ返った。
悶える間もなく、襟首を捕まれて無理矢理顔を上げさせられる。
「ねぇ」
そこには鬼のような殺気を纏った麗の姿があった。
麗に合わせてメンバーをふって彼の家に付いてきたのだが、突然の仕打ちに戒はただ奥歯をガタガタ鳴らして動けないでいる。
「れいたと何話してたの?」
訊ねているのに、その答えなんかきいてないという一方的な口振り。
それでも戒は怯えながら口を開いた。
「れいた…色々大変、そうで…悩んでたみたいだったか ら…」
再び首元を叩きつけられて、もう戒は声が出せずに、微かに奇妙な呼吸音が洩れる。
「ほんとにそれだけ?」
(ほんと…だよ…)
口だけがぱくぱく力なく動いて、声は擦れて音にもならず、次第に目の焦点が合わなくなってきた戒は、ずるずるとその場に崩れ落ちた。
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