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「ち…ちょっと麗っ」
依然、戒の手を引いて歩く麗に戒は戸惑った。
「もういいよ」
「なにが?」
「手…」
立ち止まって、暫くつないだ手を見つめていた麗。しかし「いいじゃん」とそのまま歩きだす。
(よくないだろぉ~…;)
確かに人気のない夜道。何も憚る物はない。
(それに、この繋ぎ方)
指まで組む『恋人繋ぎ』で引っ張っていく麗。彼の事だからきっと自覚ないんだろうなぁ。1人でやきもきして、戒は視線を落とした。
「麗くん」
「なぁに?」
やんちゃな笑顔を向ける麗。
「ありがとね、さっき。」
「あ、これ?」
コンビニの袋を提げて、麗は「気にすんな」と白い歯をみせた。
「ポイント欲しかったのもあるし。たいした額じゃないよ」
「うん。…でもありがと」
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