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なにやってんだ、俺
隣でぐったりしている戒に手を延ばそうとしたが、ひっこめる
痣だらけの身体。
見るたびに、自分のしている事が怖くなる
否、それ以上に怖い思いをしているのは
戒。
けれど、彼は何も言わずに一緒にいてくれる。
そんな戒に、いつも手を挙げている自分。
些細な事が
怖くて不安で
自分の手元から離れていってしまうという一種のオブセッションが、頭の中に油のようにこびりついて離れないのだ。
(戒、く…ん)
いつも陰で謝り続けるしかなくて、麗の胸の内もグシャグシャにもつれていた。
「っ……」
唇をぐっと噛んで、声を押し殺して泣く麗。
まるで、帰る家のない子供のようだった。
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