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スッポン鍋も口にできず、土用の丑の日もまだまだ遠い先。
「このままでは倒れてしまふ…。何か精のつくものは…」
当てもなく海辺をさ迷い歩き、ヘトヘトになった志村は砂浜に倒れてしまいました。
ドドドドドド…
凄まじい地響きに、志村は目を覚ましました。早くここから逃げなくては。
そうこうしている間にも、轟音は恐ろしい勢いで近づいてきます。志村は浜辺に伏せたまま、やり過ごすことにしました。
「こ、これは!」
視界を横切ったのは、無数の縄にくくり付けられたタイヤと、何と先ほどのスッポンではありませんか。
「こんな所で何してるんだ」
スッポンはうっとりした表情で答えました。
「何って、新しい職場を見つけたんですよ」
その主人は、筋トレと朝夕のタイヤジョギングを欠かさないマッチョな乙姫様だというのです。
by 瑶緒🌷
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