序章

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「よく来ましたね…。」 森から何処からともなく声が聞こえる。 森の裏口。そこが手紙に記された場所である。 「おいお前!! 何故俺達をこんな森に連れてきた!!出てきやがれ!!」 仁一は前に出て森に向かって叫んだ。 「…今からこの森を脱出してもらいます。 ここから出ることが出来たら…いや、出る前に知る事が出来るかもしれませんね…。」 森から、見下したような声でそういった。 そして何時の間にか…場所は光が微かにしか入らない森の中にいた。 「…何よ…この森から出ればいいっていうの?」 「そうです。但しルールがありますが」 …手紙の内容には、確かにルールの事が書かれていた。 ルールについても、ふざけた内容だったのだが。 「『何かの被害にあった人を助けてはならない』…これだけです」 「何がしたいんだお前は…」 哲哉は少しキレ気味に言った。 …辺りは静まり返っていた。 …その沈黙を破るように、不安げに威流は聞いた。 「…もしルールを破ったら…?」 「…死にます」 「…っ!!?」 全員は黙りこくった。 「…あっそ」 …しかし徠貴は興味なさそうだが。 「…そんな馬鹿な事がある筈が…」 「ゲームスタート」 と森の声が言うと、床が暗くなった。 全員、真っ逆様に落ちていった。 「うわぁーー!!」 …森の穴に落ちた所を、声の主が見届けていた。 不気味に嘲笑いながら男は呟いた…。 「…ふふふ、楽しませて貰おう…。君達も、僕と同じようになるがいい」 …この瞬間から、悲鳴だけが森を支配した。 …そしてリミットが過ぎていく…。
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