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  一通の手紙が届いた。 「佐倉さま」と、少しすれた茶封筒の上に小綺麗な字が控えめに書されていた。 ひっくり返してみても、そこに送り主の名前はなく差出人は不明。 佐倉としか記されていないが、どうやら僕宛に届いた手紙らしい。確信はないがそんな予感がした。 空は白み始め、テレビはお早うございますと告げているものの、朝というにはやや早い気のする、四時半。 両親はまだ寝ていて、今朝は僕だけが早く目覚めた。いつもならば目覚まし時計をいくつ鳴らしてもなかなか起ききれない僕だけれど、今朝は不思議と目が開いた。それもこんな早い時間に。  
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