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起きてしばらく、なにか妙な感覚があった。 僕はその感覚に引っ張られるように、部屋を出て誘われるままに新聞受けを開く。 そこで、ぱさりと落ちてきたのがこの手紙だった。 共同ポストがあるにも関わらず、ここにいれられた手紙。でも何故だかそこに違和感を感じることはなかった。 夢の続きのような心地よい浮遊感、現実とは違う、そんな。 僕は封筒を開けもせずにしばらく眺めていた。封筒からする畳の匂いがひどく懐かしい。 僕に手紙を宛てる人物は思い当たらないけれど、僕はこの手紙をずっと前から無意識的に予感していた。差出人不明のこの手紙を、僕は確かに来ると分かっていた。  
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