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僕は一度目を通すと、また元のように折り畳んで封筒にしまった。やるべきことはもう決まっている。
僕は行かなければいけない。
時計の針は五時を告げ、僕は立ち上がる。
考える程におかしな話だ。
場所も送り主も返して貰わなければならないものも、詳しいことは何一つだって分からないのに、僕は予感している。
僕は沼の淵まで行って取り返しに行かなければいけないのだ、この手紙の送り主から。
何気なくカレンダーに目をやれば、赤ペンで今日の日付に花丸。そして思い出す。
そうだ、今日は僕の18歳の誕生日。
つけっぱなしだったテレビが、女の声でお早うございますと言った。
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