一章

2/4
前へ
/10ページ
次へ
鬱陶しい雨が降り続く。 朝六時半、目覚まし時計が四度目の喚き声をあげた。 僕は乱暴に目覚まし時計を叩きつけて止めると、雨で湿った空気を吸い込んだ。 あぁくそ、面倒くさい。 鉛みたく重たい体を起こし、顔にかかった髪をかきあげる。 テレビをつければ天気予報、今日の日付に傘が踊っていた。 六月、梅雨入りしてから日の目をみていない。天気が悪い癖に気温が高く、ぺたぺた肌に這うシャツの感覚が気持ち悪い。 だから僕は梅雨は嫌いだった。 不快だし、なにより過ごしにくい。 傘を持たなければ外もろくに歩けない。 始まってしまった一日に、仕様もなく重たい溜め息を吐いた。  
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加