詩 「紅幻蝶」

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その美しき羽は星さえも誘引 舞う度に放つ罪 僕の思考を侵してく 蝶よ 蝶よ 紅き蝶 揺れては止まり何処へ行く 願わくば僕の元へ 羽を休めに来ておくれ 何を想い飛んでいる? 仕組まれた策略擦り抜けて あなたはいつまでも ヒラリ ヒラリ 妖しき羽は太陽さえも称賛 舞う度に重ねる誘惑 僕の衝動を逆撫でる 蝶よ 蝶よ 紅き蝶 あなたは自由でいておくれ 願わくばこの空を統べて 何よりも高貴でいておくれ 何を望み輝いている? 恵まれた籠から抜け出して あなたはいつまでも キラリ キラリ その淫らな羽は月さえも嫉妬 舞う度に深まる余韻 僕の理性を押し潰す 蝶よ 蝶よ 紅き蝶 僕と最期を居ておくれ 願わくば少しだけ 滴る甘露を分けておくれ 何を企み微笑んでいる? 僕の全てを見透かして あなたはいつまでも ニコリ ニコリ 終わりを知らない夢の狭間 心地好く溺れる僕の胸に 紅蓮の目覚めは訪れて 覗き込んで見えたのは 『貴男にも魅せた朱い肌』 塞ぎ込んで聞いたのは 『貴男にも聴かせた赤い声』 溶け込んで触れたのは 『貴方にも与えた紅い傷』 待ち侘びて 待ち続けて 待ち侘びて 待ち尽くして なのに 蝶よ 蝶よ 紅き蝶 あなたはいつまでも コナイ アエナイ モウイナイ 残される僕の意識はもう僅か 終わりを告げる鐘の音はもう間近 歪む景色を無理矢理正当化 蝶よ 蝶よ 幻よ 黒きを焦がす紅よ 願わくばいっそのこと 僕のことも灼き払っておくれ 何の為に現れた? 僕の全てを奪い去り 僕はいつまでも ヒトリ ヒトリ  
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