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彼には未来を予知する能力があった。
しかし、その能力で見る事が出来るのは5分後に自分の目から見える光景だけ。
ろくに役に立たないこの力を活用する方法がないか、彼は必死に知恵を絞った。
そして思い付いたのが、5分毎に必ず、能力を使って見えた内容をメモに取るというもの。
5分後の自分に見えるのは、更にその5分後、つまり10分後に見える光景について自分が書いたメモ。
そして10分後に見える光景には、15分後に自分が見た光景について書かれたメモがある。
つまりそれを常に行い続けることにより、5分刻みに自分の見える光景を、どこまでも未来まで知ることが出来るのだ。
早速それを実行すべくメモ帳を取り出し、能力を発動する。そこに見えたメモには、こう書かれていた。
『白紙のメモ帳が見える。
と書いてあるメモ帳が見える。
と書いてあるメモ帳が見える。
と書いてあるメモ帳が見える。
と書いてあるメモ帳が見える。
と書いてあるメモ帳が見える。
と書いてあるメモ帳が見える。
と書いてある……………………』
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