白くなっていた可能性も

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 悪霊退治をしてて今までで一番印象に残ってる事件、ですか?そうですねえ。  ある意味印象に残ってるのは、呪いの人形事件ですかね。ほら、たまにあるじゃないですか。髪が伸び続ける人形ってやつです。依頼者はその所有者さんでした。  その人は中年男性だったんですけど、なんて言うかまあ、風通しの良さそうな頭部だったんですよね。もしかしてそれが呪いのアレなのかなーとか思ったぐらいです。  さて本題ってことで、その人形はどこにあるのか、その人形をどこで手に入れたのか聞いてみたんです。そしたら、複雑そうな顔で彼が話し始めたんです。 「実は人形は無理言って寺から貰ったものだ」  彼はそう言いました。意味不明だったんですけど、すぐに分かりました。彼は、その呪いに頼ったんです。 「髪が伸びる呪いが自分にも降りかかってくれるかもしれない」  彼の言葉に、私は呆れました。危険過ぎますよ。無知って怖いですね。でも見た限り、呪いの影響は受けてなさそうです。すると次の疑問が浮かびます。何故私を呼んだのか。彼に通されたのは、家の奥の和室でした。  そこに居たのは、髪が伸びているどころか、一ミリも髪を持たない日本人形でした。  調べてみて分かったんですけど、その男性、毎晩のようにその人形に土下座して髪を生やしてくれーって頼み込んでたらしいんですよね。  で、人形の方はそのプレッシャーにやられて、ストレスで髪が全部抜けちゃったんですよ。  いやー、やっぱり怪異より人間の方が怖いなーって改めて感じた事件でしたね、あれは。
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