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『ねぇ!』 少年が僕に叫んだ。そして続けて言う。 『僕の家においで!?』 僕は足を止めた。 もう日が暮れる。公園に着いたときには沢山あった暖かいオレンジ色の空が、どこかへ行っていた。宛てもなく歩き続けて疲れていたし、何よりもお腹が空いていた。食事に有り付けるんじゃないかと思いOKした。 …と言っても うん!行くよ! と答えたわけではない。 それを言う代わりに、シッポを振ったのだ。 そんな僕の様子をみて、少年は微笑んだ。そして、そっと近付き優しく僕の目を見つめながら、頭や背中を何度も撫でた。 その手も、目と同じように優しかった。 少年は僕を抱え込むような体勢になり、背中に頬を当てた。 抱え込まれた僕は、少年の腕の中に収まったが、もしも僕が2本足で立ったなら背丈は同じぐらいだと思った。 僕の毛並みの色と少年の髪色が似ていることに気付いた。…お互いの毛の境目が分からなくなった。 真っ黒でもなく、真っ茶でもない中間色。そしてサラサラで柔らかだ。 僕は少年が気に入った。 少年も僕に好意を持ってくれていると思った。
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