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その日の夜、僕は夢の中に居た。
体が【イチタロウ】ではなく、昔の僕なのである。
つまり【人間】。
だから、夢だと分かったんだ。なぜか、戻ったんだ!という勘違いの感情は生まれなかった。
僕は二本足で立っていた。ふと足元に目をやると、サッカーボールが転がっている。
僕は蹴ってみた。辺りは霧がかかっていたが……
今日、イチと遊んだ雰囲気と似ていた。違うのは、僕が【人間】だということ。
…ん?
霧の向うで、犬が戯れている声が聞こえた。
さっき、僕が蹴ったボールと?
ボールが転がっていった方向へ歩き進んだ。
『霧がすごくて何も見えないや…』
僕は転がっていったボールではなく、それに戯れているであろう犬を探した。
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