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「こんな……こんなはずじゃなかったんだ……ただ、軽くナイフでビビらせてやろうとしただけなのに……」
月が照らす、夜の町。
街灯は殆ど無く、申し訳程度に輝いている何本かも、チカチカと点灯しているモノが多い。
「ねえ、どうせこんな所誰も通らないんだし……無かった事にしましょうよ」
荒い息遣いでその街灯の近くに立っていた“彼ら”は、足元に広がる地獄への手招きを見、話しをしていた。
「馬鹿やろう! こんなのどうやって処理するんだよ!」
1人が、向かいで喋る人間に小さく怒鳴る。
「そうだよ、それに……」
「あるわよ」
1人の台詞を遮って、“提案”をした1人が自信あり気に言った。
「あるじゃない、近くに取って置きの場所が!」
その瞳は鈍く狂ったような輝きを放ち、目の前に立つ2人を捉えていた。
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