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雲が流れる夜の町。月は顔を隠して光を守る。
まるで彼らの行為に胸を傷めるかのように――
ガタッ
物が物にぶつかる音がする。
「わっ」
「しいっ、大声出すな!」
幾つかの影が、薄暗い部屋の中を上下左右に行き来する。
それは何の儀式か……それともただの愚かな行為か。
ギシッ、ギシッ、と、何かが何かに食い込む音がする。
「何でペンライトつけないのさ」
誰かの震える声。
「馬鹿、警備の奴にバレるかもしれないだろ」
そして、小声で怒鳴る誰か。
「よし、これで後は……」
醜い笑みが、零れた。
そして誰かの、
醜い感情が、芽生えた。
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