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数十秒撫でた後、それが終わりの合図かのように佐伯はポンポンと優しく英介の頭上で手を弾ませた。
英介が無表情なので嬉しいのかどうかは分からないが、抵抗しない所を見ると嫌ではないらしい。
英介はふと、佐伯が持っている袋に気が付いた。
ぐるると、腹の虫が鳴る。
気づけばもう、一時過ぎ。
「はは、昼飯にしようか」
佐伯はにこりと笑うと、木製のテーブルにお惣菜を並べた。そして、狭いキッチンに小さく佇む炊飯器から2人分のご飯をつける。
「いただきます」
「……いただきます」
佐伯が席について茶碗を置いたら、2人で手を合わせて農家の人に感謝する。
これももう、彼らの習慣になっているらしい。
門川 英介と佐伯 景太郎……彼らが警察署近くのマンションで一緒に暮らし始めてから、もう2年程の時が経とうとしていた。
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