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「明美ちゃんの学校ですよ」
英介は玩具を与えられた子供のような顔で佐伯を見る。
「そうだね、事件とあっちゃ……」
佐伯はどこか悲しげな顔で、明美を見た。
「パパ達、学校に行くの……?」
大好きなパパの顔を見上げ、明美は尋ねる。
「ああ。明美はお留守番しておくといい。それか、お母さんの所まで送ろう」
暫く佐伯の発言から沈黙の時間が経ったが、明美は答えない。
「来るなら来てほしい。もし殺人事件だったら、明美ちゃんが紗耶香ちゃんて子を救えるかもしれないからね」
英介は黒い瞳で明美を見つめて言った。
その言葉に勇気を貰ったのか、明美は泣きながら立ち上がって一言発した。
「行く」
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