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「クラス代表になろうにも、生徒会長に追いかけ回されてるお前なら分かるだろ。生徒会長の実力」
「確かに凄いな、あの会長。女なのか疑わしいし」
本人がいたら間違いなく巡回鬼ごっこがスタートしそうだが、幸いにも今日は授業が終わると早く帰ってしまったのでいなかった。
なので、ライアンはあえてスルーした。
付き合いは短いが、ライアンはエルアルトの対応にも慣れて来ている。
「仮にもレイフォード家出身者にして才能に恵まれた名門出身者。良い身分だなったく……っと、実力者でもあるし会長を除いたとしても実力者はまだ何人かいるんだ。てか何でお前そんな会長に嫌われてんの? 何かしたのか?」
一瞬エルティスに皮肉めいた事を口にしたが、最後の質問で何とか誤魔化した。
自分の身分が高めにも関わらず、自身の成績を比例した嫉妬心に近い物だろう。
確かに才色兼備なエルティスの恵まれた才能が非常に羨ましくも思う。
しかし彼は、それを見てすぐに諦めようとする“弱い自分”を、それ以上に嫌悪した。
「凡人がそんなお坊っちゃまお嬢様を天下無敵の凡人様が倒すのはロマンがあるじゃないか~」
「そんなダサい名前のロマンはいらないな俺。天下無敵の凡人様とかネーミングセンスの欠片もねぇし」
そう言った事は否定しないが、名前が非常にカッコ悪く、ライアンは、とりあえず全力で否定した。
「ノリが悪い」とか呟いているエルアルトの話はまだ続いていた。
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