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「ギャァァァー! 遅刻したァァァ!」
現在、チャイムが鳴っているにも関わらず、廊下を全力疾走し、パンを食べながら大声を張り上げている肩近くまである黒髪をした少年がいた。
彼は入学式から1週間遅刻しっぱなしであり、間に合わなければ補修になってしまうのだ。
だから彼は息継ぎをも忘れてしまいそうな勢いで、ひたすら走り続けた。
「セーフ!」
そう言いつつ、チャイムが鳴り終わる寸前にドアを破壊しかねない勢いで、思いっきりドアを開き教室に入ったが……
「うん、何だ? 気持ちは凄く良く分かるが今日は補修なエルアルト」
「先生は鬼ッスか! 冷酷な悪魔ッスか!」
先生からの冷たき一言に、遅刻した本人、エルアルトはショックのあまり土下座状態になるまで落ち込んだ。
その姿は、何となくではあるが、試験に落第したようなショックで落ち込んでいる姿に似ていた。
「くそー、朝はソーセージパンじゃ無くてピーナッツパンにしときゃ良かった……」
その言葉にクラスは笑いの渦になり、先生が軽くそれを注意する。
彼、エルアルト・クライストは容姿はやや大きめのエメラルドグリーン瞳が比較的に綺麗な為か、やや良い顔立ち程度で、成績も普通の、どこにでもいる感じの少年だ。
違うと言えば、出来の悪さなのか、遅刻常習犯で、その陽気で笑顔を振り撒く性格の為かクラス内ではある意味有名人である。
勿論好かれていたりもするのだが、真面目な人間には評価が悪く、あまり良く思われていなかったりもするらしい。
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