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しかしそんな彼にも夢はあった。
「俺は英雄になるんだ! 何かカッコいいだろ!」
「ハイハイ……お前は英雄よりもカッコイイ男になりたいんだよな毎回毎回……お前、それ夢以外に何か夢は無いのか。もっとデカイ夢は」
そう、エルアルトの最大の目標はカッコいい男になる事であり、英雄になる事はカッコイイ男の5の次辺りだろう。
そんな彼に、的確なツッコミを入れるのはライアン・ハグバール。
身分は微妙に高い程度だが、かなりの富豪で、成績は至って普通。
なので気が合うのか、エルアルトとは雑談仲間である。
「それと生徒会長がスゲー怒ってたから捕まったら終わりだなエルアルト」
「また怒ってんのかあの生徒会長。俺に恨みでもあんの? あの人?」
ライアンはツッコミを入れようとしたが、恐怖のあまり、声が出せれなくなった。
「一体誰が、私をこんなに怒らせてると思う? エルアルト君」
エルアルトの後ろには青筋を浮かべ、眉をピクピクと動かし、綺麗な金髪の長髪を風でなびかせた美少女がいた。
彼女は1年の生徒会長のエルティス・レイフォード。
名門貴族であるレイフォード家出身であり、この国での身分は非常に高く、レイフォードの名前は、大貴族の一角としても有名である。
「……ライアン君、今から居残り時間になるまで後何分だ?」
「3分位だがどうする気だ?」
「こうする気だ!」
エルアルトは青ざめた顔色でそう聞いた後、ライアンの言葉を聞いた瞬間、猛ダッシュで教室から逃げ出した。
「あっ! また逃げ出し……良いわ。ジハードの1年代表生徒会長、名門レイフォードの名にかけて今日は絶対捕まえやるわよ!」
そう言うとエルティスも何かのスイッチが入ったのか、ダッシュでエルアルトを追いかけに行った。
ライアンは二人が行った後に、急に色々と疲れが溜まり、机に倒れ込んだ。
やはり真面目な人物にはエルアルトは、やはり気に入らないのだろう。
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