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負けず嫌いに加えて、プライドの高いエルティスにとっては、特に名前が知られている訳でも無いエルアルトに逃げ切られるのは貴族出身の彼女にとっては屈辱であり、ある意味悩みの種になっていた。
「この──アッシュブレイズ」
エルティスは腹いせに男子トイレに魔法を唱えると、突然灰が現れてその大量の灰は男子トイレの中へと入って行った。
『何か男子トイレに灰が……ゴホッ!』
エルアルトはむせまくっているが、本来は炎を灰に変換して対象を囲んで再び炎に戻し焼き尽くしたりする魔法である。
が、エルティスは絶妙な魔力のコントロールでただ灰を男子トイレに充満させる嫌がらせに使えたりする。
しかし、その辺りは流石だろう。僅かでも魔力の操作を間違えると、今頃エルアルトは火だるまになってしまうのだから。
「次は絶対に捕まえてやるわ」
エルティスは軽く舌打ちして、その場を後にしたが、灰はしばらくトイレに充満していた。
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