モンスター?

3/5
前へ
/833ページ
次へ
そう言いながら車の荷台の私達から死角になってた所から姿を現した青年。黒渕眼鏡をしていて、体格も普通で髪型や、顔つきもパッとしない冴えない雰囲気の青年である。青年は車の荷台からまるでハシゴから降りるようにして、床に着地した。そしてハルの隣にいる私の元に寄り、私をジーッと見つめ、右手を差し出す。   「こ、こんばんわ、ラピスさん」   何故かシドロモドロの青年。何故私を見てこんなに照れてるの?しかも、何故私の名前を?ちょっとわけわかんないけど、私は首を傾げて聞いた。   「…何処かで会ったことあったかな?」   青年はシドロモドロで何か言いかけた。   「あ、いや…その…」   その時、モンスター車の運転席のドアがバァン‼と勢い良く開いた。そしてオッサン染みた声の怒号が聞こえる。   「ちっくしょ~‼‼なんで配線が上手くいかねぇんだ⁉俺様の恋人のリリーナちゃんの歌声が綺麗に出ねぇじゃねぇかよ‼」   私達はきょとんとしていた。そして運転席から怒号の主がひょっこり顔をだす。タンクトップにジーパンの服装に筋肉質の体型、髪型はロン毛で、後ろで一つに縛っている。肌は色黒で無精髭のオッサン臭い男…。しかも口にはくわえ煙草…。   「お⁉ハル来てたか?」   ハルは運転席から顔を出す男に笑顔で手を振った。   「来てあげたわよグラップ」   そうそう、このロン毛のオッサン臭い男がグラップだ。グラップは運転席から飛び降り、勢い良く床に着地した。そして運転席のドアは開きっぱなしでツカツカと眼鏡の青年の肩に右手を回し、肩を組む。そして私を見ながらニカッと微笑む。   「良かったじゃねぇか“チャック”ちゃんと来てくれたじゃねぇか」image=259304205.jpg
/833ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加