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私はグラップがロマンチックな場所ってろくな場所じゃないだろうと思っていた…。
グラップはお得意のニカッとした笑顔で言った。
「ここから北に30分くらい走った所にある森に囲まれた展望台に行って見ないか?。近くに誰も住んで居ない辺鄙な場所に建ってるもんだから結構知られてない穴場だぜ」
そしてグラップは自分の膝をバンと叩く。
「そしてだ‼そこの展望台から見える月が綺麗なんだよ」
周りに何もない展望台で月を眺める…確かに良いかも…。グラップにしてはロマンチックである。だけど…。私は不安になって言った。
「…でも…夜に森に囲まれた展望台って気味悪くない?」
…と言いかけたが、ハルは更にテンションを上げた。
「へえ~、素敵じゃない‼さっそく行きましょう‼」
ハルは前座席の私の肩をポンと叩く。
「ラピス、良かったじゃない‼今夜は面白くなるわよ~‼」
ロマンチック…だけど夜にそんな人気の無い所は不気味だ。私は怖いのが苦手なのである。
…やっぱり気味が悪い。私は不安いっぱいで後部座席のハルに振り向いた。
「でも…」
…言おうとした所で、また今度はグラップが私の言葉をかき消して運転席のチャックに言った。
「よし‼チャックもいいよな⁉」
私は運転席のチャックをチラリ見た。反対してほしい…そう思っていたが、チャックは良いのか悪いのかハッキリしない微笑みを浮かべ…。
「うん、みんなが行きたいならそれで…」
チャックはその場流れみたいな何とも感情の無い返事をした。…やっぱりこのチャックって人…周りの意見に流されるタイプか…そう思った。
私はやっぱり止めたほうがいい気がした。何か場所が気味が悪い。
言おうとしたが、ハルは後部座席でテンション上げて座席の上で身体を揺らして無駄にテンションを上がる。
「イヤッホ~‼‼」
グラップも一緒に盛り上がって奇声を上げる。
「ホッホウ‼‼‼」
そして私達の乗るモンスター車はグラップのナビゲーターで、その穴場の展望台に向かった。
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