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モンスター車は急ブレーキ程ではないけど、そこそこ前に重心がかかるような止まり方をした。いきなりの停止に車内にいる私達は前にのめり出た。
「キャッ‼」
びっくりした。グラップはびっくりして前のチャックに怒鳴った。
「おいチャック‼いきなり止まんなよ‼危ねぇじゃねぇか‼」
チャックは呆然とし、前方を指差した。
「ねぇ…あの影何?」
私達は前方を見つめた。モンスター車のヘッドライトとフォグランプが照らす前方…そこには大きな何かしらの影が見えていた。何の影?…まさか‼
私はとっさに下に隠れた。
「うわぁ‼で、“出た”」
そう、私は幽霊だと思った。
グラップはジーッと前方の何かしら影を見つめる。
「…ありゃあ何かの建物じゃねぇか?」
車をもう少し走らせて影に近づく。影の正体がわかった。
グラップはその巨大な影に驚愕する。
「こりゃたまげたぜ‼この場所にこんなモノが建っているとはよ‼」
何と、影の正体は巨大な“城”だった。樹海を抜けて丘の上に立つ城……だけどボロボロで誰か住んでいる城ではない。
そう…“廃虚の城”なのである。
周りは樹海の闇以外に何も無い…唯一の光は上空からの月明かりだけ。月明かりにホッとした私…。月は私の味方だ。その闇夜に浮かぶ月は私に救いの手を差し伸べてくれたみたいだった……。
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