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闇で見えない窓から幽霊がこっちを見ていてもおかしいことではない。
私はハルの腕をグイグイ引っ張る。
「ねぇ…やっぱり引き返しましょうよ…」
しかし、ハルは城に目を輝かせている。
「何言ってんのよ‼こんな幽霊が出そうな城を前に引き返すことなんか出来ないわよ‼」
ハルは城の魔力に取りつかれているみたいだった。
そう言ってる間に上空の月は曇に完全に隠れてしまい、闇が一層広がる。空全体が曇っているみたいで、今にも雨が降りそうである。私はグラップに振り向き言った。
「ねぇ‼グラップも言ってよ。引き返そうって…」
しかし、グラップは私の声が聞こえていない。城を目指して獣道のような道を一人はしゃいで走って行った。
「ワクワクするぜ‼これは大発見だ‼こんな城に出会わせてくれたのも、きっと神様からの思し召しだぜ‼イヤッホ~‼」
…これが神様からの思し召しだなんて…私には悪魔からの誘いにしか感じない。
ドタドタと一人先に進むグラップ。ハルも続いてテンションを上げて獣道を進んで行く。
「待ってよ‼一番乗りは私よ~‼」
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