🌃廃城…🌃

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グラップはヘラヘラ笑いながら言った。   「実は肝試しでも出来たらいいな~って思ってたからよ」   グラップはペンライトを振り回しながら暗闇の天井を見上げる。   「…ま、でもまさかこんなスゲー所で肝試しをするとは思わなかったぜ」   私はトホホな気分だった。   「…うう…帰りたい…怖い…」   ペンライトはチャックとグラップとハルが持った。私はハルの腕にしがみついていた。ペンライトは持つ所を回すと付く今どきのタイプ。   チャックとハルとグラップはペンライトを付けた。グラップが先頭で城の中に一歩足を踏み入れた。   その時…まるでカメラのフラッシュのように一瞬だけ辺り一面が明るくなった。そして「ドオン‼‼」と大きな音が空から地響きと共に響き渡る。雷である。私はびっくりして悲鳴を上げた。   「キャアアアア‼‼」   流石に肝が座っているハルでも今の雷には驚いた。胸を押さえ、上空を見つめる。   「びっくりしたわ‼」   チャックも上空を見つめて言った。   「今のは落ちたね」   グラップはニヤニヤしながらペンライトで、あちらこちらを照らしながら中に入って行く。   「最高の演出だぜ。よっしゃいくぜ‼」   私達は城の中に入って行った。その時雨が降り出した。かなりの降雨量らしく、ザアーと雨が城を打ち付ける音がする。   城に入ると大きなホールに私達は立った。ここが玄関のようだ。天井は高くて、床にはレッドカーペットが敷かれている。右手左手に2つずつの何処かに通じる扉。ホールの真ん中には上に続く広くて大きな階段がある。手すりも豪華である。   上の縦長いレトロな雰囲気の窓にかかっている赤いカーテンも、床のレッドカーペットもとてもボロボロで、長年の年月のホコリやカビでみすぼらしい姿になっている。
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