🌃廃城…🌃

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壁にはロウソク式の燭台が定間隔で設置してある。燭台にはロウソクが当時のまま置かれている。 グラップは傍の3本のロウソクが刺さっている燭台を一つ壁から取った。   「ペンライトだけじゃ心もとないからな」   そう言ってグラップはオイルライターをパカッと開き、燭台の3本のロウソクに火を灯した。ついでに自分の煙草にも火を付ける。ハルはムッとした表情で言った。   「くわえ煙草は止めなさいよ」   グラップはヘラヘラ笑いながら煙草を吹かす。   「そう固いこと言うなって、煙草依存には煙草が無いと生きていけないんだからよ」   くわえ煙草はともかくとして、グラップが灯した燭台の明かりに私は少しホッとした。灯りというのは何故か心が落ち着く。ゆらゆらと蠢く火に自然に目が行く。   …その時…私は何か違和感を感じた。理屈で何とは説明出来ないけど、何か変…。私はハルの腕にしがみついたまま周りを恐る恐る見渡した。まず目の前にいるハルを見つめた。ハルも燭台の灯りにホッとしている。   「いいわね~火は落ち着くわ~」   そして燭台を持つグラップを見つめた。グラップは燭台の灯りで照らされたニヤけた顔で言った。   「コレなら灯りには困らねぇな。まだ沢山燭台はあるしよ」   くわえ煙草で下品に喋るグラップ。そして私の斜め後ろに立っているチャック。チャックはペンライトで天井のあちらこちらを興味半分で照らしている。   別に何とも変化はない。1、2、3、4…アレ?私を入れて4人だよね?でも私以外に4人…私入れて5人…アレ?チャックの後ろにいる人…誰?   グラップの燭台の灯りで視覚的な錯覚か、傍は明るいけど、ちょっと遠くはもっと暗くなっている。だからチャックの背後に立っている人がわからない…でも誰かいる。何で?……一人多いの?貴方は誰?
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