45人が本棚に入れています
本棚に追加
昔の貴族は有り余る財力を使って社会に貢献していたって話だけど、この城の主はどんな気持ちでこの城を建てたのかな…。
最初は怖がったけど、そういう情景を想像していたら、少し居心地が良くなってきた。 出来るならこの城の主に会ってみたい…。
もちろん出来るわけないんだけどね。ひょっとするとこの城は寂しかったのかも。だって長年誰も足を踏み入れられなかったんだしね。
私はクスクス一人で笑いながらこの城が当時栄えていた情景を想像しながら感傷に浸っていた。
しかし、それも束の間。私が体重をかけていた手すりが突然バキバキと音を立ててへし折れた。私はバランスを崩した。
「え⁉」
そして私は2階から1階の庭園に落下した。
「キャア‼」
ドサッと音を立てて私は庭園の雑草の茂みに落ちた。私は身体を起こした。
「あいたた…もう、何なのよ」
手すりは腐っていた。まぁ当たり前なんだけどさ…。
あまり大した高さでもなかったのと、雑草のクッションのおかげで大して痛くはなかった。
私は起き上がろとした。
その時…私は視界にあり得ないモノが写り込んだ。
私の目前に見たこともない少女が立っていた。
いつの間に立っていたのか…気がつかなかった。いえ、気がついたら目の前にいた。どう表現していいかわからないけど、少女は私の目前に突然姿を現したのだ。…。私は言葉を失い、唖然として少女を見つめた。
私は何も明かりを持ってないけど、暗闇に目が慣れてしまっているせいか、辺りの風景と目前にいる少女の姿がうっすらと目視出来る。
15歳くらいの少女かな?黒いドレスにブーツを身につけ、派手なフリルのついた傘を上品な指使いで持っている。雨傘ではなく、中世時代の貴婦人が持っていた日傘みたい…。髪型は長いブロンドのサラサラした美しい髪…。肌も真っ白で華奢な身体つきだけど、私よりスタイルいい気がする。まるで人形みたいに整った美しい少女…。でも、瞳は人間とは思えない真っ赤…真紅と表現すべきかな?とても威圧感のある不気味な大きな瞳…その瞳で私をじっと見つめている。表情は無表情だけど、どこか寂しそう。でも変…この子これだけ土砂降りなのに綺麗なドレスも、長いサラサラの髪の毛も全く濡れていない。
私は固唾を飲みながらその雨に濡れない人形のような美しい少女に声をかけた。
最初のコメントを投稿しよう!