…Ghost…

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私はこの少女に何を聞きたいんだろう?名前?…違う…。私が聞きたかったのはこの少女が“どういう存在か”…。人間じゃないのは見て直感でわかる。この土砂降りの中濡れない少女…。貴女は何者なの?そして私にとって怖い存在?それとも仲良く出来る存在?…願わくば後者であってほしい…。怖い目には遭いたくない…。   私は平静な態度ながら心の中ではパニックになっていた。私は土砂降りでびしょ濡れだけど、どうだっていい。今は私が生きていられるか…。そこが知りたい。   少女は無言のままゆっくり右手を斜め上に上げ、私の頭上を指差した。方角的に私が体重をかけていた2階の手すりが崩れた所かな?   私は少女から目を離さず少女の意味不明な行動に、きょとんとした表情で少女を見つめた。   「え?」   私は少女から目を離さなかった。だって、目を離すのが怖いから…。それにしてもわからない…何がしたいの?この子…。私は私の頭上に当たる場所に向かって指を差す少女をじっと見つめていた。   すると少女が指差した方角から私を呼ぶ声が…。   「ラピス~‼大丈夫⁉」   ハルの声だ。私はハッとして2階の通路に振り返った。   ハルとグラップとチャックが私が落ちた手すりの場所から身を乗り出して心配そうに私を見下ろしている。グラップは真下にいる私に言った。   「とりあえず城の中に入れ‼ずぶ濡れだぞ‼」   私は自分がずぶ濡れだったことさえ忘れていた。でも変…。みんな私のことばかりで…もっと驚くことあるでしょ?私は少女が立っている正面に再び振り返った。
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