…Ghost…

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しかし、私は少女の立っている場所に振り返り唖然とした。   「あれ?」   居ない…さっきまで居たのに…。錯覚?…でもあの少女の容姿は、中世時代のモノ…映画とか、歴史の教科書の写真にある貴族の容姿そのものだった。ひょっとするとあの少女は…。   私が少女の立っていた場所を一点張りで見つめる姿を見かねてハルが上から言った。   「何やってんの⁉ラピス‼早く中に入りなさい‼私達も1階に降りるから‼」   私の背後には庭園から城の中に入れる扉がある。ハルとグラップとチャックは姿を消した。1階の私の元に向かっている。   私は背後にある扉から城の中に入った。そしてびしょ濡れになったロングスカートの裾を両手で絞り、水を搾り出していた。ビシャビシャと水音を立てて床に滴る雨水を見つめながら、私は考え込んでいた。あの少女…何をしに私の傍に現れたんだろう?そして、さっきハル達を指差していたのは友達が心配してくれているのを教えてくれたのだろうか…?。それとも手すり壊して怒ってるのかな?…。いずれにしてもわかんないことばかり。もう1回姿を見せてくれないかな…。そんな風に思っていた。   ハル達が私の元に駆け寄って来た。ハルは私のびしょ濡れの状態を見て驚愕した。   「まあ‼びしょ濡れじゃないの…」    ハルは私を心配してくれているが、グラップは鼻の下を伸ばしてニヤニヤしながら私の濡れた身体をシゲシゲ見つめている。   「いやいや…これはこれで中々…」   私はハッとして顔を赤らめ、身体…特に胸を両腕で隠した。びしょ濡れになったせいで服が…いや、これ以上は恥ずかしくて言えない。 何気にチャックも無言で顔を赤らめ私の濡れた身体をシゲシゲ見つめている。私は腹が立って顔を赤らめたままチャックに怒鳴った。   「み、見ないでよ‼いやらしい‼」   チャックは慌てて恥ずかそうに目を反らす。   「あ、ごご、ごめん‼」   私が怒ったのは何故かチャックだけ。何かわかんないけど、ムカつくのよ…。オドオドしてるクセに、見てる時はしっかり見ててさ…。だからってグラップみたいに、いやらしさを堂々と見せられるのも嫌だけどさ…。
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