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ハルはハンカチでびしょ濡れの私を拭っているが、とても拭き取りきれるわけはない。ハルは拭いてはすぐにびしょびしょになるハンカチを搾り、水を切る。ビシャビシャと水が床に落ちる。
「駄目だわ、こんなんじゃ拭き取りきれないわよ」
面倒見のいいハルはまるで自分のことのように私の面倒を見てくれる。私は知らない内に甘えてばかりだ。
グラップは考え込んでいる。
「う~ん、こりゃラピスちゃん風邪引いちゃうな」
ハルは私を何回もハンカチを搾りながら、私の濡れた所を拭き取っている。
「早く帰って着替えなきゃ…今日は引き上げましょう?」
チャックもハルの意見に合わせるようにボソリと呟く。
「…また来ればいいさ」
普通ならこんなびしょ濡れになったら遊ぶどころの話じゃない。すぐに帰ってシャワーでも浴びて着替えるのが当たり前。だけど、私は何故か今はそんな気はしなかった。それよりももっと知りたいことがある。私はみんなに言った。
「私は大丈夫だから…探索を続けよ?」
ハルは思いも寄らぬ私の言葉に仰天する。
「な‼…アンタ風邪引くわよ‼」
グラップはオイルライターをポケットから出し、また煙草に火を付ける。
「そうだぜラピスちゃん。別に慌てることはねぇよ」
火を付ける時にグラップは眉間にシワが寄る。
次の機会でもいい気がするけど、でも今の私はそれでは駄目…。何か気になってしょうがない。私は合掌してみんなにお願いした。
「お願い。もう少し私に付き合って‼」
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