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時折輝く稲光、そして「ゴロゴロ」となる雷はグラップの話に重なるように鳴っている。
グラップは農家だから、仕事が天候に左右されるみたい。
ハルはペンライトで天井に吊るされている蜘の巣だらけのシャンデリアを照らしながらグラップに聞いた。
「グラップ、あんたは進路とか考えてるの?やっぱり実家を継ぐの?」
グラップは足元に落ちている瓦礫を照らしながら答えた。
「まあな…俺は嫌なんだけどよ、親父が“継げ継げ”ってうるせぇし…親父もお袋も歳だからな…」
やっぱりグラップは両親の後を継いで酪農家になるんだ…。いい加減な性格のようで、ちゃんと将来を考えているんだな。
私は後ろでペンライトで天井を照らしながら上を向いて歩いているチャックに振り向いた。そしてチャックに聞いた。
「チャック?貴方はどうするの?」
チャックは私が話かけたことに凄く驚き、動揺している。
「え⁉え⁉何が⁉」
…何をそんなに動揺しているのか…。もういいや、私はそこは突っ込まずに答えた。
「進路よ、進路」
チャックは私から視線を反らし、照れながら答えた。
「あ、ああ…俺は、自動車会社に入ろうと思ってる。車とかイジるの好きだから…」
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