親友。

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私は照れながらうつ向き言った。   「似合うかな?…でも誰も私のミニ姿なんか見ないよね」   ハルは私の太ももをスカートの上から鷲掴みする。私はビクッとした。ハルは言った。   「あんたも足細いのに勿体無いわよ。いい?男ってのは女を可愛い系か、美人系にジャンル分けしてるのよ。男の好みってどっちかなんだから、可愛い系に属するあんたが好みの男は絶対にいるはずよ」   流石は恋愛の達人である。男を見て来た経験値が違う。私はほうほうと関心して聞いていた。そう言ってハルはバスの外の風景を黄昏れるように眺め出した。   「…少なくともグラップは私よりあんたのほうが好みよ、絶対…」   ハルは美人系だろうけど、今のは言った意味が良くわからない…私はきょとんとなった。   「は?」   それからバスは街外れの眺めの良い自然の多い田舎道に差し掛かった。道路は見通しの良い直線ばかりで、周りは畑や牧草地帯ばかり…自動車はポツポツ、トラクターともすれ違う。とてものどかな環境の場所である。グラップの家はこんな田舎にある。   そうそう…だんだん思い出して来た…。グラップを初めて見たのは、前にハルと他数人の女友達と一緒にグラップの家で合コン紛いのパーティーをやった時だ。まぁ大した男はいなかったけど、一人良く私に話かけて来た男の子が居たっけな…なんだかオドオドしていたな…でも名前も顔も覚えていない。あの後私、悪酔いしちゃって…ダウンしちゃったし…。   そうして色々頭の中を巡らせている内に目的地に着いた。とあるバス停に着くと、ハルは立ち上がった。   「さ、降りるわよ」   その頃日は沈み、辺りはすっかり闇に包まれていた。
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