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ある日、中学の同級生が電話して来ました。
彼女の高校の同級生が、霊障で困っているのだが、自分一人ではどうしようもないので、助けてほしいとの事でした。
私は少し迷いましたが、同級生のたっての頼みなので引き受けることにしました。
依頼者の家は山奥にあり、バスを下りてから かなり歩かなくてはなりませんでした。
歩きながら、同級生の彼女から依頼者の状況を聞きました。
ラップ音、金縛り、視線…。典型的な心霊体験でしたが、何とも言われようのない不気味な何かを感じていました。
依頼者の家は、丘の上にポツンとたたずんでおり、隣のお家とはかなりの距離があるようでした。
新築で今風の造りでしたが、外観からして何故が古めかしい歪んだものを感じたのです。
家の中は、大きな窓が、アチコチに点在していて、明かりは充分行き届いているにも関わらず、何故か薄暗くジメっとした感じで、いかにも…(-_-;)と言った印象でした。
まず、玄関。
ドアノブに微弱な電気の様なビリビリを感じ、磁場の乱れも感じました。玄関の上がり口付近の窓には、白く縦長な姿が見え、こちらの様子を伺っていました。
問題の階段はその窓の真向かいにあり、足音の主はその白い陰だと直ぐに解りました。
二階へ上がると、突き当たりに黒く、いくつもうごめく靄があり、身構え威嚇するかのような気を放ち、こちらの様子を伺っていました。
そして、問題の依頼者の部屋。
スッキリと片付いているのに、イヤに居心地が悪く、天井付近は黒い靄が渦巻き、窓からは無数の霊体の視線を感じました。
「……………ねぇ…お宅の庭にいつも烏の死骸が落ちてない?」
私がそう言うと、依頼者の女の子はゾっとした目で私を見ました。
そして小声で
「はい…。」とだけ言いました。
同級生も初耳だったようで、驚いたようすで私と依頼者を交互に見ていました。
「烏だけじゃ無いよね…?色んな動物の死体が時折庭に落ちてるでしょ」
依頼者の彼女は目を細め嫌そうに頷きました。
「どうやら間違った場所の選択をしたみたいだね。」
私が部屋中を見回しながら依頼者に言うと、
「それってどういう…」
依頼者は、困ったように眉を寄せて、恐る恐る口を開いた。
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