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──ここは荒野。
大地はまるで水を欲するかのように裂け、乾いた風が吹く。
そんな中に一つの人影。
──少年。
黒いフードを被り、その姿は伺い知ることは出来ないが、身長は小さくかなり幼く見える。
その子の目に映る光景は黒く覆い尽くされた空と大地。
──黒く蠢く数百の魔物。
少年が一歩前に出る。
それが合図かのように多種多様の魔物たちが一斉に少年に襲いかかった。
しかし少年は少しも動じることなく右手を上げ、上を向く。
右手に段々と“紫色の何か”が集まっていく。
だが、そうしている間にも接近する魔物達。
「…………」
──刹那、
まるで、魔物達が来るのを待っていたかのように手から黒い波動がほとばしる。
その波動は少年を中心に広がり、魔物、大地、彼以外の物体全てを切り刻んでいく。
フードが脱げ、露わになる少年の姿。
少年が微かに微笑むと、次の瞬間には全て魔物が地に伏していた。
残るのは、数え切れない肉片と大地に刻まれた無数の斬撃の跡。
そしてその少年の右目は白く、左目は紫色に染まっていた。
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