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あなたの事を忘れるわけじゃない。
あなたがくれた沢山の思い出に足をとられるんじゃなくて
あなたがくれた沢山の思い出を糧に前に進もうと思うんだ。
「そう言えば先輩に頼まれた新しい校歌、作曲出来ましたよ。」
「え?
あっありがとうな。
作曲家としてめちゃくちゃ有名になってたから書いて貰えないかと思ってた。」
急に話が変わった事に戸惑いながらも勇次が礼を述べると隆文は楽譜を机に置いて言った。
「元々この曲は俺が一番最初、まだ大学に入ったばっかの時に考えてた物なんすよ。
何回も書き直して納得出来る物になるのに今までかかってしまったやつで。
…きっとこれが俺の最高傑作です。
これ以上の曲なんて俺には書けません。」
「そんな大事な曲をうちの校歌なんかに使っていいのか?!」
勇次が慌てると隆文は微笑んだ。
「いいんですよ。
…つか俺はこの学園こそこの曲に相応しいと思ってます。」
「…そうか?
ありがとうな。」
勇次が首を傾げながら言うと隆文が楽譜の最後のページを指差して言った。
「…この曲が書けたら前に進もうって決めてたんです。」
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