316人が本棚に入れています
本棚に追加
AM1:26
春風は予定通り16階へ向かっていた。
予想はしていたが想像以上の酷さである。警戒と言う言葉を知らないのかと思うような警備の甘さ。
警備員は寝ているし、監視カメラにいたっては一目で分かる飾り物。
赤外線センサーなんかスイッチさえ入っていない。
「…これじゃ、崩れるのも時間の問題だよね。」
今、自分や富谷、工藤が逃げればDOMEは数日で消されるだろう。
強者に頼れば楽に支配できる。
頼りすぎれば強者も倒れる。
己の足で立てなければ、そこには悲劇しかない。
「…何だろう。何かすっげぇ萎えたかも。」
こんな組織に利用されたかと思うと情けなかった。
良い事ではないが以前はNo,1の組織で働き裏社会に名を馳せていたはずの自分が…。
こんなまともに警備も出来ねぇような組織に利用され大人しく従っているなんて…。
春風に悔しさと言う感情があったなら枕を涙で濡らしたであろう。
しかし、そんな感情がない彼女は緊張感及びやる気のメーターを下げ、苛立ちを上げて終わった。
負のメーターが大成長である。
しかし、いくら気を抜いているとはいえ相手はルークだ。
春風はエレベーターに乗り込むと目を閉じる。
目を開いた時、死神になる為に。
最初のコメントを投稿しよう!