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その日は、1月で最も寒いと思った日だった。
ウチは、身体を丸め、膝を抱えこんで、彼のお墓の前にしゃがみ込んでいた。
前の日も…
その前の日も…
その前の前の日も…
同じ様に、枯れない涙を拭いながら、うちはソノ場所にいた。
彼は帰ってこない。
分かっている筈なのに、自分でも分からないくらいに…
諦めきれない気持ちが溢れ出て来た。
ウチも彼や、母の後を追おうか…
そんな事を考えていた時だった…
「ユウちゃんやん!こんにちは」
「…こんにちは」
後ろを振り返ると、彼のお母さんが花を抱え、立っていた。
顔にはクマができ、疲れ果てた頬と目。
なのに、おばちゃんはニコリと微笑んで…
「息子のお墓参り来てくれたんやなぁ?
ありがとぉな…学校あんのに…」
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