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俺は裕太が持ってきた小さな将棋セットで遊び楓は日向ぼっこをしている。
「この僕様に勝とうとは百年早いわ!」
「…………………。」
そこまで将棋は弱くないハズなのに五連敗している。
おかしい、不正は働いてもいない。
目の前で腰に手を当てガハハと笑う裕太を睨み付ける。
すると奴は見下したような目で鼻息を上げた。
ムカつくから鳩尾に拳を入れてやった。
「オウフッ、そこはらめぇ……」
中庭の芝生の上で右往左往転がりながら悶絶する裕太を余所に将棋セットを片付け楓の隣に寝っ転がる。
すぅすぅと寝息を立て気持ち良さそうに寝ている顔がある。
本当に男か疑いたくなる顔立ちだ。
先程までのびていた裕太が元気百倍とか言いながら跳ね起きをし
「ハァハァ、こんな寝顔我慢できない、顔にしても罪にならないよな?この寝顔が罪で俺は無罪だ…」
カチャカチャとベルトに手をかける裕太。
このままでは楓が起きたら液体まみれになってしまうので止めないと。
「元気余り過ぎだバーロー。それにお前の存在が犯罪だ」
少し前屈みになりながらズボンを下ろし掛けた裕太がこちらを信じられないと言わんばかりの顔でみる。イチゴ柄のトランクスだ。
「( ゚Д゚ )」
「そんな顔してもダメなものはダメだ」
裕太も諦めたらしく楓を中央になるように寝そべった。
昼休みは一時間あり三人はいつもこのようにして時間を潰す。
それは他の生徒も同じで海之上高校には昼寝をするための部屋がある。
勿論管理人がいるため不純な行為は出来ないようになっている。
昼休みの時間が残すところ15分になった時、裕太は立ち上がり
「ちょっくら部室行くわ。じゃあまた帰りな」
こちらを見ないで自分のお昼ご飯で出たゴミを持ち、空いてる手を上げ軽く振り行ってしまった。
俺は適当に返事をした後に楓を起こすことにした。
「楓起きろ、体育で着替えるから早めに帰るぞ」
楓はう~んと唸りながらも覚束無い足取りで着いてきてくれた。
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