山乃 雪の日常

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SHRも終わり俺と楓は帰るため教室から出る。 ドアを開けた先には裕太が壁に凭れ(もたれ)かけながら携帯を覗いている。 こっちに気がついたらしく携帯を閉じポケットにしまった。 「これからゲーセン行かないか?今日部活ないから行こうぜ!」 「いいね!僕も行きたい!」 俺を余所に2人で盛り上がっているが先ほどの若林の話を聞いてたらこんなこと言わないはずだがな。 「駄目だ、遅くなって帰り道が暗くなるだろ。通り魔に逢ったらどうする気だ」 楓と裕太がぶーぶー文句を言っているが知ったこっちゃない。 いつ危ない目にあうか分からないのだからな。 「ちぇ、わかったよ。また今度行くか」 裕太は不満そうな顔を雪に見せた。 3人は下駄箱で靴を履き替え校門へ向かう。 通り魔のせいか色々な部活が休みになり早く帰る者もいれば遊ぼうとしてる生徒がチラホラ見える。 そんな中校門で待つ1人の小柄な女の子が雪達の視界に入る。 女の子は此方に気づくと手を振っている。 それに対し楓が 「もみじぃー!もしかして待った?」 「ううん、私も今来たところだよ」 「そっか、じゃあ一緒に帰ろう!」 「うん!」 その女の子は楓の彼女、戌宮 紅葉(いぬみやもみじ)である。 楓と同じくらいの小柄で髪は肩より少し長く頭に一本のアホ毛がある黒髪。 これまた楓と同じ大きな目に頬も少し赤い。 唯一違うといったら顔の輪郭が女性らしい細さだ。 学年は俺らの1つ下で1年生だ。 楓と紅葉は指を絡ませ手を繋いで俺の前を歩いている。 いつ見てもこいつらはイチャイチャしてるな。 ここまでくるとこの二人が他の奴と付き合う姿が想像できない。 「うぐぐぐぐぐぐ、俺の目の前でイチャイチャしがやってぇぇぇぇ」 また裕太の僻みが始まるがいつものことなので俺は無視することを決め付け帰ることにした。 ──────── ───── ─── ─…
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