誰かの記憶……

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辺りはもうすぐ日が照らし始める時刻になろうとしている。 そこに一人の小さな男の子が黒一色に染まる外套に身を包んだ中年の男性に抱えられている。 その少年が見据える先には小さな山小屋だった建物がある。 その山小屋にはこの少年とその両親が半日前まで楽しく夕食を済ませていた。 幸せな時間はいつ崩壊するかわからない。 夕食の時間が過ぎ家族団欒の空間に突如それはやってきた。 「ちょっと地下の物置からお酒を取って来てくれないか? ストックが切れちゃったみたいなんだ」 男の子の父がそういうと男の子は嬉しいそうに 「うん!わかった!」 と言い走って行った。 先程男の子に話し掛けた時とは表情を変え 「さぁーて、招かれざる客は追い払わないとな」 父親は拳を構える。 それを聞き母親は 「私も手伝います」 と言葉を交わす。 男の子の両親は真剣な顔つきで玄関の先を睨み付ける。 するとドアが突如真っ二つに斬られ、外には一組の男女が立っていた。 「英雄とも言われた人が魔者(まもの)と生活っすか、こりゃお偉いさんも黙っちゃいないわけだ」 「無駄口はいい……任務を遂行する…」男は身体より大きい大剣を肩に担ぎ、女は同じく身体より大きい鎌を構えていた。 「何度来ようが組織に戻るつもりはない!」 父親が感情を高ぶらせ言い放つ。 「おぉ怖い怖い。ドア壊しただけこんな怒鳴られるとは思わなかったわ。 ならとっととおっ始めようじゃないか!」 ―――――――――― ―――――― ――― ―…
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